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劇団四季ミュージカル 『異国の丘』 [2003年 劇団四季]

2003年6月8日配信

皆様、お久しぶりですね!!

社会人生活もようやく1ヶ月ちょっとを過ぎ、ようやく「社会の荒波」なるものを実感しつつあるとろりんです(笑)。

5月は全く舞台の予定が入っておらず、カンゲキが生きがい(笑)の私にとっては、とてもとても辛い1ヶ月でした(笑)。

ストレス解消に、映画『CHICAGO』を見たのですが、これはお薦めですねー。とにかくスゴかった!!

さて、本日は劇団四季のオリジナルミュージカル『異国の丘』を報告します。

『ミュージカル李香蘭』に次ぐ、浅利慶太による「昭和ミュージカル」第2弾。

日中戦争時、近衛兵文麿内閣の下、極秘に計画された和平工作に携わり、戦後はシベリアに抑留されて不慮の死を遂げた近衛の長男・文隆をモデルに、戦争の悲劇、敗戦の代償というにはあまりにも悲惨な記憶である、シベリア抑留を描きます。

■ 物語 ■

1930年代、日本国首相の息子である九重秀隆(石丸幹二)は米国留学中、美しい中国人女性、愛玲(佐渡寧子)と出会い、互いに惹かれあいます。しかし、実は愛玲は蒋介石の姪であり、既に婚約者もいました。

日中戦争が泥沼化の様相を見せ始める中、極秘に計画された日中和平工作に、それぞれ日本側・中国側の使者として行動することになった秀隆と愛玲は、同志として、そして愛する人として固い絆で結ばれていきます。しかし、戦争は非情な手段で、2人を引き裂きます。

戦後、戦犯として秀隆はシベリアの収容所へ連行され、女将軍ナターシャ(西村麗子)の下、過酷な強制労働に従事します。

ある時、秀隆の素性を知ったソ連政府は、秀隆に帰国の許可を出すのと引き換えに、ある条件を提示します。その条件に対して、秀隆の出した結論は、あまりに潔く、あまりにも清廉すぎるものでした…。

■ 感想 ■

最近ではブロードウェイ・ミュージカルの日本上演がメインとなっている劇団四季ですが、『李香蘭』以来、久しぶりに「四季」らしい舞台を観たなあ、という思いがします。

「戦争」の記憶を、日本で語るのは未だに難しいですよね。あの戦争で日本がどのような行為を行い、どのような犠牲が強いられてきたのか…。

『李香蘭』でも同じ事を感じましたが、劇団四季は、ミュージカルという表現手段の特徴を最大限に生かしていますね。今、日本の歴史を、これほど深く伝えることのできる劇団は、四季が随一だと思います。

65万人が理不尽に極寒のシベリアに連行され、うち6万人が無念の死を遂げた、シベリア抑留。

史実を史実として、そのまま忠実に舞台化していれば、現代を生きる観客は、抱え切れない重い心を背負って帰ることになっていたでしょう。

舞台では、秀隆の、シベリアで過酷な労働に従事する「現実」と、NY留学、そして愛玲との愛の為に、日中和平工作に奔走した「回想」を巧みに織り交ぜ、何故秀隆が和平工作に命をかけたか、そして何故ソ連の条件を受け入れる事はしなかったのか、浮き彫りにされています。

加えて素晴らしかったのが、現実と回想に登場する人物たち。

特に抑留兵たちの演技には、深く揺り動かされるものがありました。もう日本の土を踏む事はできない、と悟った老人兵のために、仲間の兵士達が、彼の遺言を家族に伝えるために繰り返し暗誦する場面には、涙が出ました。(このエピソードは、実話に基づいています)

せめて家族は、健康でいてくれるよう、幸せであるよう…あまりにも悲惨すぎる状況の中、それでもなお、愛する人を思い、祈りながら、どれだけの命が失われていったのか…そう思うと、言葉に出来ない思いが突き上げてきます。

配役陣もさすがに揃ってました。

特に初演から主人公・秀隆を演じ続けている石丸幹二は、恋を知った喜び、許されない愛への苦悩、和平工作にかける決意、過酷なシベリア抑留生活でも押しつぶされる事のなかった強い心を、伸びやかな歌声で表現し、さすがに四季のトップ俳優の風格が抜群です。

愛玲を演じた佐渡寧子は、これが四季での初めての舞台なのですが、美しい歌声が忘れられません。

第1幕ラスト、それぞれ別の船で帰国の途についた秀隆と愛玲が、互いにその面影を求めて歌う「あなたを求めて」、そして第2幕、和平工作をめぐって、秀隆・愛玲と、花蓮(愛玲の親友:佐和由梨)・劉玄(花連の恋人:阿久津陽一郎)がそれぞれの思いを吐露する「運命の時」は、過酷な運命の中、それぞれの運命に立ち向かわなくてはいけない2組の恋人達の血の吐くような思い、決意が真っ直ぐに伝わってきて、深く心に染み入りました。

観る前は、「いや~、重いのかな…」と心配していたのですが、冒頭のNY留学中の場面に取り入れられるダンスシーン、随所に盛り込まれる素晴らしい歌唱が「ミュージカル」としてのラインを保ちつつ、日本人として忘れるべきではない歴史の記憶が、静かに、真っ直ぐに伝わってきました。

皆様も、機会があれば是非、ご覧下さいね。

次回は宝塚歌劇花組大劇場公演です。

何と、今回は1つの組に2人のトップが立つとか!?どんな感じになるのでしょうね~。

では、ありがとうございました~。



最近は、とんと劇団四季の舞台を観劇していないですねえ…。

もともと、私が四季ファンになったのは、小学生低学年の頃に『キャッツ』に大感激したからで(←今思うと、カンゲキ人生の原点です)、私の中では、四季=『キャッツ』という図式が成り立つくらい。

そんな私が成長し、外見だけは大人になって(苦笑)、あらためて四季のファンになるきっかけというのは、ミュージカル『李香蘭』観劇だったんですよね。これより以前に舞台中継をテレビで見ていて、川島芳子役を演じた保坂知寿さんが素敵だな、と印象に残っていたのです。

それで、私が学生の時に、大阪の近鉄劇場で『李香蘭』の再演があり、観劇。終演後に速攻、「四季の会」(公式ファンクラブ)に入会手続きをしました(笑)。

この時に、「戦争」の事実をなかなか理解できない子どもたちの世代が「感覚」としてとらえるには、ミュージカルという手法は適しているのではないかな、と感じました。そういう試みを意欲的にしている劇団四季もすごいなぁと感心します。

…とか言いつつ、最近、本当に劇団四季の舞台を観てないなぁ…。横浜キャッツ、また行こうかな(←やっぱりキャッツかよ)


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