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宝塚歌劇月組公演 『花の宝塚風土記―春のおどりー』『シニョール・ドン・ファン』 [2003年 宝塚歌劇]

2003年4月9日配信

皆さま、こんにちは。とろりんです。

春爛漫の季節も過ぎ、爽やかな若葉の季節となってきました。

そんな、「若葉の頃」の代名詞、みどりの日に参りました、記念すべき、カンゲキ通信第20回目の報告は、宝塚月組公演。

演目は、舞踊ショー『花の宝塚風土記-春のおどり』、ミュージカル『シニョール・ドン・ファン』。

出演は、紫吹淳&映美くららのトップコンビを筆頭に、霧矢大夢(きりや ひろむ)、大空悠飛(ゆうひ)、ほか月組。専科より松本悠里、朝みち子(ショーのみ)、汐風幸、彩輝直が特出。

今回の公演は、この春宝塚歌劇団に入団した第89期初舞台生のお披露目も重なっており、まさに若葉のような清々しさと、賑やかさあふれる舞台でした。

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まずは『花の宝塚風土記』より。

最近では珍しい、日本舞踊によるショーです。

日本物の芝居は何度か観劇経験があるものの、ショーは初めて。期待半分、不安半分といったところでしたが、結果的には大興奮!大満足!!大感動!!!の一時間でした。

「どーよ!これが宝塚の底力じゃこらー!」と周囲に叫びまくりたい衝動に駆られたのは、久しぶりです(笑)。現時点で、今年のショー部門、一位に踊り出ました(笑)。

洋楽を使って日本舞踊を踊るのは、宝塚歌劇が元祖ですが、宝塚大劇場の舞台機構をフル活用。そして、これがまた絶妙の使い方!

衣裳、装置、出演者の出方や並び方、それぞれの演出が全てピタリとハマり、豪華絢爛、スピーディー、圧巻。それでいて宝塚のカラーは失われていない。まさに、華やかさあふれる、素晴らしい舞台に創り上げられていました。久々に「これが宝塚の良さよー!!」と思えました。

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予想以上に舞踊ショーを楽しんだ後は、ミュージカル『シニョール・ドン・ファン』。

南イタリアののリゾート地を舞台に、世界のトップを行くファッションデザイナーと、彼の昔の恋人によく似ているという娘の出会いを軸に、彼に届いた謎のブラックメールをめぐりながら、「人を愛する事」「信じる事」の意味を問いかけた、洒落た現代のヒューマン・サスペンス・ロマン。

脚本としては、ラストに少し意外な展開を見せるものの、ブラックメールの犯人もあっさりと判明し、サスペンスとしては軽い出来だったと思います。

けれど、その事件を背景に、本当に愛されているのか解らない不安、人を愛したくても、どう愛していいのか解らない焦り、愛されたくても、その伝え方が解らないもどかしさ、苛立ち等、現代に生きる人の多くが抱えているであろう「愛ゆえの孤独」「愛ゆえの迷い」が、登場人物から、そして舞台から伝わって来ました。

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フィナーレは、初舞台生恒例のラインダンスから。ライトがつくと、初舞台生が銀橋に板付で勢揃い!初々しい、溌剌としたラインダンスでした。

ショーにも出してもらって、銀橋も計3回も出してもらって、(しかもそのうち1回は板付)今年の初舞台生はめちゃくちゃ恵まれてますね。今の気持ちを忘れずに、素敵な舞台人になって欲しいなー、との願いを込めて、心から拍手を送りました。

続いて、トップスター紫吹を中心に、黒燕尾の男役による大階段での群舞。曲は「カタリ カタリ」。

一人一人がそれぞれ、真紅の薔薇を一輪、手に携えながらのダンスで、ファンには嬉しい演出です。

ここは紫吹の、トップとしてのオーラ、ダンサーとしての実力をじっくりと堪能しました。

最後はトップ娘役、映美とのデュエットダンス。二人が身に纏う純白の衣裳が、とても美しくて、今日一日の夢の名残のように、美しく幻想的な場面でした。

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今回目を見張ったのは、中堅スター、霧矢の成長ぶり。もともと芸達者で、実力のある人なのですが、さらに舞台での華、オーラが身についてきました。

『宝塚風土記』での、若衆の水際立った美しさと押し出しの強さ、花見踊りでは、はんなりとした上品な色気を、嫌味なく表現。

芝居でも主人公に振り回される執事の役を軽妙に演じて、作品の中で、良い一息を入れていました。

月組はこの春、将来のトップスターと目されていた若手スターが他の組へ異動となり、その後がどうなるか、少し心配だったのですが、霧矢が、見事に抜けた穴を埋めています。

これは霧矢1人の手柄ではなく、充実期に入った月組の、本当の実力とも言えると思いますが、その筆頭として、霧矢が若手を引っ張っているのは、霧矢ファンとしては嬉しい驚き。これからも、月組を支え、もり立てていって欲しいです。

***

終演後、阪急宝塚駅のホームで電車を待っていると、歌劇初体験らしい、若い女性連れが近くに。
彼女らの会話を何となしに聞いていると…。

「宝塚、良かったねー、感動ー」

「うん、良かったねー」

「何に感動って、あの、ナマの舞台の迫力!」

「宝塚の良さとかスゴさって、観た事ない人には解らないよね」

「うん、ナマで観ないとね。写真とかテレビとかじゃなくて、ナマで観ないと絶対解らないね」

とろりん、今度は思わず二人の手を固く握り締め、熱く御礼を言いたい衝動に駆られました(笑)。

***

歌劇・歌舞伎・四季好きの私が人に聞かれて一番困る質問。それは、

「宝塚の良さって?」

「歌舞伎のどこが面白いの?」

という種類のもの。

良さ、というのは人それぞれの主観ですから、私としては「一度観てみて」と答えるより他ないんです。(お勧めする演目はかなり吟味しますが(笑))

そして、一度見ただけでは、本当の面白さは解からない、というのもまた、1つの真理だと思うのです。一度観てもらって、そして出来れば違う作品にも足を運んでもらいたい。

色んな宝塚(歌舞伎、四季)の作品に何度も触れてもらうこと。それが舞台の「良さ」「面白さ」を発見し、体感出来る一番の近道です。

「カンゲキに、王道無しっっ!!(笑)」

…と、とろりんの名(迷)言を持ちまして、今回はこれ切りとさせていただきます(笑)。

ありがとうございました。

次回は、劇団四季『異国の丘』です。



…なんか、いつも思うのですけれども、この時期のカンゲキレポって、本当に調子こいてますよね(苦笑)。面識のある友人にだけ送信していたという気安さもあって、書きたい放題ですよね(汗)。

そうか、私にっては初めて生で観る日本物のショーだったんだぁ。いくつか観たことがあると思っていたのは、テレビの舞台中継を通じたものだったんですね。

日本物のショーを観たのは、この作品と2007年の星組公演『さくら―妖しいまでに美しいお前―』の2作品くらいでしょうか(一昨年の星組公演『秋のおどり』は逃がしました…)。

そうやって考えると、日本物のショーって、本当に上演される機会が少なくなってきたんですねぇ。

本編でも少しふれていますが、「洋楽(オーケストラ)で日本舞踊のショーを上演する」というのは宝塚歌劇が発祥です。いわば伝統の芯の部分。来る100年に向けて、もう少し日本物ショーを上演する機会があっても良いかもしれませんね。

「他組へ移動になった若手スター」というのは、2007年~2009年に宙組トップスターを務めた大和悠河のこと。今のブログでしたら躊躇せずに名前をだしているのでしょうが、この頃は舞台鑑賞を趣味とはしない友人にも送信していたので、混乱しないよう配慮したのでしょう(笑)。

最後のほうに書いた、宝塚初観劇と思われる方たちの会話は、今でも思い出します。やっぱりね、舞台はライブですから、一度は自分の感覚でトライするのがいちばんだと思います。


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