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想巡華競姿(おもいだすはなのえくらべ) ~今年の歌舞伎まとめ~ [2002年 歌舞伎]

2002年12月24日送信

よぉー、ポンポンっ。(←またしても意図不明)

ども、続けざまにとろりんです(笑)。

今回の通信は、「想巡華競姿(おもいだすはなのえくらべ)」と題しまして、この1年の歌舞伎公演で、特にとろりんの印象に残った演目をご紹介したいと思います。(…へ、ヘタクソな外題付けだな…)

今年は10公演、31演目…かな?(笑)まだ歌舞伎を観るようになって2年目にも関わらず、関西の興行は全て行脚し、それだけでは飽き足らず、役者の自主公演にも足を運んだ、のめりこむと早いとろりん(笑)。

2002年は2代目中村魁春、そして4代目尾上松緑の襲名披露とあいまって、こちら関西にも超大幹部俳優もたっくさん来てくださって、嬉しい限りでした♪

私が今年の歌舞伎見物で感動したベスト5は…。

……苦悩……(笑)。

ええい、出してしまいます!!

☆『蘭平物狂』(7月・大阪松竹座)
☆『新版歌祭文 野崎村』(1月・浅草公会堂)
☆『鏡獅子』(1月・歌舞伎座)
☆『棒しばり』(1月・浅草公会堂)
☆『勧進帳』(12月・南座)

とろりんさん、さりげなく東京まで追っかけてます!!(笑)

『蘭平物狂』は、大阪松竹座での4代目松緑襲名狂言。

とにかく後半の、松緑の立ち回りが、気迫がこもっていて圧巻。

この立ち回りを観終えた瞬間、「歌舞伎」にハマった、と思いました。

歌舞伎とか、宝塚とか、最初に惹かれるきっかけはやっぱり「人」なんですよね。ある「人」に惹かれて、その人観たさに劇場に行くようになって、ある時、忘れられない作品に出逢って、その演劇そのものにハマっていく。

私にとって新・松緑の『蘭平物狂』が、「歌舞伎にハマる」きっかけを与えてくれました。

『野崎村』は、若手花形による芝居でしたが、マイ御贔屓(笑)、市川亀治郎のお光が、素晴らしかった!!

終幕近く、去っていくお染と久松を堤から見送った後の寂しげな立ち姿。静寂がじわじわと亀治郎の身体から放出され、それがオーラとなって客席を圧倒していったあの時、言葉では表現できないほどに感動しました。

これが、亀治郎という役者だけが持つ「輝き」なのだ、と思いました。

『鏡獅子』は、中村勘九郎の芸格の大きさに、ただただ感動…。

これがニシムラにとっては、初めての歌舞伎座となったのですが、その劇場の空気に触れられたことで、もう感激で涙が出るほどでした。

今でも金色の空に浮かぶ朝日富士を描いた緞帳、そして「お芝居を観るぞ!!」という熱気が充満していた、あの客席の空気を思い出すと、胸がじ――んと熱くなります。

お小姓・弥生がゆったりと舞う姿を見つめる時の、ぴーんと張り詰めた劇場内の空気。うってかわって、獅子の勇壮な狂いを見せる後半に客席を包んだ、どよめきのような興奮と熱気。まさに「至福の瞬間」でした。

『棒しばり』は、市川亀治郎・尾上松緑(当時辰之助)という、当代の若手では随一の、踊りの名手がコンビを組んでの狂言舞踊。

これがもう、楽しくって、おかしくって、素晴らしかった。幕が下りていく瞬間、「ええ夢見たわ~…(茫然自失)」と、しみじみと幸せを感じました。

今年で一番、最高の幸せに浸った瞬間だったかもしれません(笑)。久しぶりに、舞台を観て「夢を見た」という感覚にどっぷり浸かりました。

『勧進帳』は、もう、大幹部役者の芸格の大きさ、を目の当たりにした、という感じです。

関西の興行で、これ以上のキャスティングは考えられない!!これからも出逢えるかどうか。お芝居の内容自体はこれから何回も観て、自分なりに深めていけたら、と思うのですが、とにかく大役者の凄さ、をしみじみと実感しました。

***

…ベスト5に絞るのは、本当に難しい…。

これ以外に忘れられない舞台といえば、仁左衛門・雀右衛門の『鳥辺山心中』、玉三郎の『鐘の岬』、芝翫の『年増』、鴈治郎の『藤娘』。素晴らしい舞台でしたね~…。

不肖とろりん、2003年のカンゲキ初めは、松竹座での『初春大歌舞伎 夜の部』です!!歌舞伎発祥400年を迎えた最初の幕開け!!しかもお正月見物!!

2代目魁春の『道成寺』、そして伝説的舞台とも言える鴈治郎お初初演から50年を迎える『曽根崎心中』その他!!

こいつぁ、春から縁起が良いぜ!!(やはり江戸っ子口調が止まらないニシムラ)

皆様もくれぐれもお体を大切にしつつ、新しい1年が充実したものでありますように。

それでは、来年も、「カンゲキ通信」ともども、よろしくお願い申し上げます!!



「その他!!」に大ウケ(笑)。どうやら、魁春丈の『道成寺』と鴈治朗丈の『曽根崎心中』以外は、それほど興味をもっていなかったらしいです。正直ですね(苦笑)。

『蘭平物狂』のところで人にハマるきっかけ、歌舞伎にハマるきっかけについて言及していますが、この松緑丈の『蘭平』が「歌舞伎にハマるきっかけ」なら、最初のステップである「人にハマるきっかけ」だったのは、市川亀治郎丈でした。

前年に大阪松竹座で上演されたスーパー歌舞伎『新・三国志Ⅱ』で亀治郎丈に心を奪われた私は、関西で亀治郎丈が出演する舞台はすべて観に行き、それだけでは飽き足らずについに遠征して浅草歌舞伎、そしてこの年に第1回公演が開催された『亀治郎の会』(京都春秋座)にも足を運んだのでした。

でも、この時はまだ歌舞伎ファンというよりは亀ちゃんファン、という感じ。とにかく亀ちゃんの舞台を観たい一心でした。歌舞伎を観に行く理由も、「いずれは亀ちゃんが演じる演目であろうから、勉強のために観ておこう」というスタンス。

今にしても思えばすごいですね、まるで亀ちゃんを中心に歌舞伎の世界が回っているかのような亀ちゃん傾倒ぶりは(苦笑)。

その後、南座の五月大歌舞伎で中村梅玉丈の男らしさに惚れ、「歌舞伎、ちょっと面白いかも…」と思い始めた矢先、7月に大阪松竹座で観た松緑丈の『蘭平物狂』。もう、これが決定的でした。

『野崎村』はね、実は当時のカンゲキレポでは、結構辛口だったんですよね。今でこそ軽やかで自由自在な演技をする亀ちゃんですが、この当時はすごくとがっていて、「この役はこのように演じるべき」という頭でっかち気味な舞台が続きました。

ま、あの時代があったからこそ、自由で軽やかな今の亀ちゃんを楽しめることができるのですけれどね。(えらそう)

亀ちゃんつながりで先に『棒しばり』のお話をすると、もう、ほーんとに素晴らしい舞台でした!これが見たくて、上京を決意したのです(笑)。

当時、若手の中では随一の舞踊の名手とされていた松ちゃんと亀ちゃんの『棒しばり』ですもの!それはもう、勢いがあって、明るくて、華やかで!!観終わった後、何とも言えない幸福な気持ちになりました。

『鏡獅子』は、実は浅草歌舞伎を観劇するために上京したわけですが、「どうせ東京まで歌舞伎を観に行くのなら、ぜひ歌舞伎座にも行ってみたい」と思い、東京在住の友人知人の力を借りて、幕見席で観ることができたのです。

実は、この日は始発の飛行機で東京に入ってからずっと興奮しっぱなしだったので、『鏡獅子』を観る頃には疲労困憊していて、観劇中に何度も意識が遠のいてしまったのです…(苦笑)。

それでもあの歌舞伎座の熱気、そしてオペラグラスを通じて見えた勘三郎丈@弥生の肌の白さや美しい手先の動き、そして獅子の精に姿を変えた後の勇壮さは、言葉にならないほどでした。

『勧進帳』は、先のレポで少しお半紙しましたものね~。『鏡獅子』と並んで、幹部俳優の芸格の大きさを実感する、本当に素晴らしい舞台でした。

もう10年近くも前の事なのですが、やっぱり当時のことを色々と思い出すものですね~。


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