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宝塚歌劇雪組公演 『春麗の淡き光に』/『Joyful!!』 [2003年 宝塚歌劇]

2003年2月2日配信

皆様、こんにちは。とろりんです。

西日本ではインフルエンザが過去最高に猛威を振るっておりますが、お元気でお過ごしでしょうか?

さて、今回は、久々に(って、2ヶ月しか経ってないが)宝塚歌劇の舞台です。今回は、雪組新トップコンビ、朝海ひかる&舞風りらのお披露目公演です。

演目は、大劇場久々の王朝モノ、ミュージカル『春麗の淡き光に-朱天童子異聞』(植田神爾 作・演出)ダンシング・レビュー『Joyful!』(藤井大介 作・演出)の2本立てです。

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では、まず『春麗―』より。(最初に当時の情勢から)

時は平安時代。世は藤原氏の時代ですが、その藤原氏ですら、北家(ほっけ)・南家(なんけ)・式家(しきけ)・摂家(せっけ)と内部分裂し、同族でありながら激しい権力闘争を展開。徐々に、藤原兼家率いる北家が勢力を掴みつつありました。

同じ藤原一族でありながら、北家(ほっけ)による専横政治に反発する南家・藤原保輔(朝海)は、毎夜「朱天童子」と名を変え、北家の者への襲撃を繰り返していました。

源頼光(貴城けい)、頼信(壮一帆)兄弟は、朝廷(実際には藤原北家)より、朱天童子討伐の命を受けます。しかし、頼光と保輔はその昔共に学を修めた親友同士。そして彼等の妹、若狭(舞風)は、実は朱天童子=保輔の恋人だったのです。

貴族社会の不正を正すべく、自らの道を突き進む保輔。友情と、源氏一族の頭領としての宿命・責任との狭間に立ちすくむ頼光。離れ離れになっても、ひたすら一途に恋人を慕い続ける若狭。兄と共に勅旨を受けながらも、哀れな妹を気遣う頼信。

全ての運命は、大江山に終結します。

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まずは全体の印象から。

…名作とは言いがたいですが(暴言)、面白かったですよ、色んな意味で(笑)。

よく言えば、平安時代という長い時代の史実のポイントを、一時期にギュッと絞り込んだ、という感じです。(悪く言えば、時代考証かなり無視>笑)

例えば…

①王朝モノなのに、何故オープニングの群舞が 「元禄花見踊り」やねん!なんで着流しやねん!(笑)

ここを公達&上臈の舞にして、なおかつ舞踊劇風に当時の情勢や登場人物の関係を暗示させた方が分かりやすい展開になったんではないでしょうか…。 (保輔と若狭の関係が、劇中では希薄になってしまったので、なおさらここで、しっかりと見せておくべきだったのでは…)

②保輔「諸行滅上、盛者必衰。おごれる者は久しからず!」
→それ『平家物語』やろ!

③兼家「欠けることのない望月のように、我が一族も安泰じゃ~!」
→それ息子(藤原道長)の言葉やん!

…とまあ、ツッコミ満載、疑問満載なのに、楽しめてしまうこの不思議(笑)。

展開が冗長な場面などもありましたが、やはり演出家が長らく宝塚歌劇の演出を務めているだけあって、名場面が随所に散りばめられているのはさすがです。

文句の多いオープニングですが(笑)、その群舞の美しさ。日本舞踊で、あそこまで群舞が揃うのって、宝塚ならではですね。

他にも、頼光&頼信兄弟が「青海波」を舞う場面や、保輔と若狭の別れのシーン、ラストの大江山、保輔と頼光の息詰まるシーンなど、「型」の美しさに、こだわりが見られた舞台でした。

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ショーは、ひたすらダンシーング!!って感じのショーです。この演出家の特徴で、ひたすら勢いで押しまくってくれます。

しかし全編、ひたすら勢いで押してくるので、途中でちょっと疲れてしまいます。観客にホッと息をつかせる演出、というのも必要だと思いますね。(ちょっと昔のショーを参考にしてね、藤井君)

圧巻は、プロローグと中詰めで展開された、雪組生総勢69名によるラインダンス!!

上手花道から下手花道にズラリと勢揃い、一糸乱れぬラインダンスには、感動で鳥肌が立ちました。ラインダンスで、全員の足が上がるたびに鳥肌が立つなんて、初めての体験です。

足を踏み込むタイミング、挙げる角度まで、全員バッチリ揃ってるんですよ!69人全員ですよ!!意外なところで「宝塚のスゴさ」を再確認しました。

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新トップとなった朝海ひかる。

芝居ではアウトローの孤独をにじませながらも熱い血を通わせる貴族の青年を好演。ショーになると、まだまだ「ダイヤの原石」という感じで存在感が埋もれてしまいがちなのですが、トップとしての風格、オーラはこれからどんどん磨かれて、輝きを放つことでしょう。

何より組子が、朝海を盛り上げよう、押し出そう、としているのがすごく伝わってきます。

朝海の相手役として、花組より移籍した舞風。

ショーのクライマックス、大階段での、朝海とのデュエットダンスでの衣裳は、そんな舞風の境遇とベストマッチで、微笑ましくて、思わずジーンとしました。(どんな衣裳だったかは、内緒。東京公演をお楽しみに!!)

芸名の通り、風にふわりと舞ってしまうような柔らかくてしなやかなダンスが、とても素敵です。

このコンビはダンサーなので、随所でハイテクニックなダンスを見せてくれました。大技リフト、連発!!

まだまだ未知数ですが、とても期待できるコンビです♪

2番手として朝海を支えた、貴城けい。

日本物の作品への出演機会が多いだけに、芝居ではさすがの安定感。大詰めの台詞が流れすぎて、余韻が薄くなったのが残念でしたが、ショーでは、天性の華やかさで、しっかりと朝海を盛り上げ、支えているのが頼もしいですね。

とろりんさん一押しの壮一帆。

芝居では源頼信という、実質的に3番手の役どころ。源氏の頭領である兄とは違い、妹の心中を気遣って手助けをしてやる、次男らしい若々しさが壮本来の持ち味と上手くミックスされてて、良かったですよ~。

私は午前の部を観劇したのですが、終演後、ふと見回すと、何故か今日は男性が多い…。

「?」と思っていると、「タカラヅカ・バレンタイン・スペシャル」の看板を発見。

午後の部は、チケットぴあの主催で、親子、友達、カップル、夫婦など、男女ペアで観劇すると、チケット代が半額になるというイベント公演だったのです。

近年、男性ファンも徐々に増えているという宝塚歌劇。このようなイベントを通じ、もっとファンが増えると良いですね。

今日も長文、失礼いたしました。今日はこの辺で。

次回は劇団四季、大阪では久々の新作『コンタクト』です。私も初めて観るので、めちゃくちゃ楽しみです!

お楽しみに~~~☆☆☆



久しぶりに宝塚のカンゲキレポが発掘されてきました(笑)。突っ込みどころ満載なのに楽しめてしまう、というのは、もはや植田クオリティのひとつですね。

朝海ひかると舞風りらのトップコンビは、今振り返るととっても面白いコンビでしたね。

お芝居では恋愛の温度を感じさせず、すれちがっているのかな…と思いきや、ショーなどで組んで踊り出すと、もう他の追随を許さない程の圧倒的な空気感に包まれていて。特に大階段でのデュエットダンスは毎回素晴らしくて、呼吸を忘れてしまうほどでした。

朝海の相手役は舞風しか考えられなかったし、舞風が相手役となるべき男役は朝海しかいなかった。そんな不思議なつながりを感じさせるコンビでした。

「タカラヅカ・バレンタイン・スペシャル」って、いつから始まったのでしたっけ?2001年の星組公演(『花の業平』『夢は世界を翔けめぐる』)からでしょうか?これからもこういう観劇企画はあると良いですね~。
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